top of page

耕力農園の歴史

1. 原点は砕石業
001.jpg

耕力農園は西日本砕石の耕力堆肥の製造販売を契機に、耕力堆肥の実証実験農場としてはじまります。西日本砕石の砕石場は、瀬戸内海の燧灘に面した愛媛県新居浜市阿島にあります。

002.jpg
003.jpg
004.jpg

和泉層とよばれる良質の砂岩の山です。和泉層が形成されたのは、6000万年前、恐竜が栄えた時代の終わりの頃、白亜紀末期です。まだ日本海はなく、日本列島は現在の日本海側の極一部が大陸の縁にへばりついていました。そこ頃、四国は、まだ隆起する前で、ほとんどが海底でした。およそ1億年前にできた日本最大の大断層である中央構造線に沿って、その北側が沈み込んで海底盆地となり、その海底盆地に溜まった砂や泥が、長い年月を経て圧縮されて岩石になったものが和泉層です。和泉層の砂岩は砕くと良質の砂となり、良質のコンクリートの原料となります。

2. 石炭クリンカの農業利用

高速道路や港やダムといった社会インフラの整備が一通り出来上がり、最盛期に比べると、コンクリートの生産量は格段に減少しました。これにより砕石の生産販売量も減少したことで、何か新しい事業に取り組む必要性に迫られます。そこで地元の石炭火力発電所から排出される石炭クリンカを活用した資材の研究開発に取り組みました。

005_edited.jpg
006.jpg

石炭クリンカとは石炭を燃やしたときにできる燃えカスです。主成分はケイ酸で、ガラスと同じ成分です。石炭はもともと植物の化石です。よって石炭が高温で燃焼することで、もともとの植物に含まれていたケイ酸や鉄などの、さまざまなミネラル成分が燃え残り、ドロドロの溶岩になります。これを水槽で受けて冷却したものが石炭クリンカです。石炭クリンカは、細かく砕いて砂にすることでコンクリートの原料に再利用することが広く行われているのですが、コンクリート自体の需要は、ますます減っていくことが考えられました。そこで石炭クリンカの建設土木業の原料以外の利用方法をいろいろ考えていたところ、石炭クリンカに含まれているケイ酸や鉄がイネの肥料として活用できるということを知り、愛媛大学農学部の上野教授の協力の元、石炭クリンカを原料としたイネ用の特殊肥料の研究開発を行います。そしてイネ用のケイ酸肥料である「いーねミネラル」を開発することができました。さらに、サッカー場の芝生が、お米と同じイネ科植物であるということで、芝用の特殊肥料として、石炭クリンカを砕いたものと山砂を混合した「耕力砂」を開発することができました。

image1.jpg
image2.jpg

上野教授との実証試験によって、石炭クリンカを土壌に施用すると、作物の収量・品質・病害虫抵抗能力が向上するということが明らかになりました。これは石炭クリンカに含まれているケイ酸や鉄といった栄養成分が作物に供給されることによるものだけではなく、石炭クリンカが多孔質の形状をしていることが大きく関係しているようです。石炭クリンカは、石炭が高温で燃焼するときに、ドロドロの液体になったケイ酸や鉄などの含有ミネラル成分が、水槽に落ちて、急速に冷却されることでつくられます。そのため、石炭クリンカを顕微鏡で見ると、穴だらけの多孔質になっています。この多孔質という形状の石炭クリンカが、土壌に混じることで、保水力や保肥力を高め、さらに、土壌の物理性・生物性・化学性を改善し、作物の根量が増えることで、栄養吸収量が増え、葉緑体の光合成能力が増加し、作物の収量・品質・病虫害抵抗能力が向上するようです。

3. お茶殻と石炭クリンカで堆肥づくりの研究開発

さらに、上野教授より、地元の飲料製造工場より排出されるお茶殻を紹介されたことを契機に、お茶殻と石炭クリンカを混合して堆肥をつくる研究開発を行います。お茶殻は栄養が豊富なため、すぐに腐敗してしまい、発酵させることが、とても難しい有機物原料でした。しかし、お茶殻に、石炭クリンカを混ぜることで、発酵がスムーズに進むということが分かり、石炭クリンカ入りお茶殻堆肥「耕力堆肥」が開発されます。現代のお茶の流行りは、風味、甘味、旨味をとても重視するために、旨味成分のアミノ酸を多く含んでいる茶葉が好んで使用されています。そのため、お茶殻にも茶葉のアミノ酸由来の窒素成分が多く含有されています。また、お茶殻は、お茶の葉っぱそのものですので、葉の中の葉緑体を構成するさまざまなミネラル成分の、そのほとんどが、そのまま残っています。植物が生きていく上で最も重要な器官は、光合成を行なう葉緑体です。お茶殻を堆肥化することで、作物の葉の葉緑体をつくる成分をしっかり供給できる堆肥をつくることができたのです。

008.jpg
pdf_product_047.jpg
4. 発酵プラントを建設し安定生産と安定供給

お茶殻とクリンカの混合堆肥「耕力堆肥」は、愛媛県の良質リサイクル製品認証である「スゴeco認証」を取得することができました。「耕力堆肥」を使ってもらう農家さんとの関係が広まっていく中で、堆肥が美味しい農産物をつくるための土づくりに欠かせないものであることを知り、農業生産を行うことで、どうしても消耗していってしまう地力を、堆肥が回復することを知り、堆肥が農家さんの営農をしっかり支えていることを知り、堆肥の安定生産と品質管理の重要性を感じ、堆肥製造プラントを建設しました。堆肥発酵プラントを建設したことで、温度管理や水分管理が良くなり、発酵細菌も働きやすくなったようで、堆肥の品質も向上しました。

010.jpg
011.jpg
012.jpg
013.jpg
5. 有機農業を広めていきたい

砕石業を生業とさせていただいている西日本砕石は、ずっと「大地の恵み」に食べさせてもらっているという気持ちで営ませてもらってきました。大地に感謝する気持ちを、何かの形で大地にお返しができればという思いは、ずっとありましたが、どうすることが、お返しになるのか、長い年月、わからないままでした。そのような中、堆肥を製造販売することを通じて、堆肥を施用することで、地力を回復する農業技術である有機農業と出会えたことは、これぞ、運命と思いました。農業生産を行うと土壌は農産物になっていくので、土壌の作物を育てる力=地力は徐々に痩せていってしまいます。土壌の作物を育てる力=地力の源泉は土壌に含まれている有機物であり、農業生産によって有機物の分解が促進されて、土壌から有機物が失われていくことが地力低下の原因です。そこで、足りなくなった有機物を堆肥を施用することで、補うことができ、減衰してしまう地力を回復させることができるのです。この事と知ったときには感激しました。これでやっと大地にお返しができると思ったわけです。しかし、地力を回復する有機農業という考えは、まだまだ世の中には広まっていません。そこで堆肥の製造販売と共に、有機農業を広めていく取り組みも行っていこうと思ったわけです。採石場の入り口の耕作放棄になっていた農地を譲り受けて、耕力堆肥を使ったオーガニック農場「耕力農園」を設立し、堆肥を活用した地力の回復、そして地力の向上を実践する有機農業をはじめました。

014.jpg
6. 人参が美味しかった

農家さんに教わりながら有機農業を実践してみました。100年前の有機農業、50年前の有機農業とは異なり、現代の有機農業は、とても科学的です。農業とは、一言でいうなら理科でした。小学校の頃から、それとなく学んできた理科、生物、化学、物理、地学というものは、本当は農業だったのかということを知りました。堆肥を施用することで、和泉層の痩せた、黄色っぽい砂質の土は、年々、有機物を蓄えて黒くなっていきます。はじめてつくった人参が本当に美味しかったので、本気で日本一美味しいと思いました。ところが2年目の人参はさらに美味しかったので、世界一だなと思いました。3年目の人参の味は、2年目の世界一を超えていました。土壌は1年目よりも2年目、2年目よりも3年目とどんどんフカフカになっていき、人参の味がどんどん良くなるのです。

015.jpg
016.jpg
7. 未来を耕す力になりたい

2022年7月に施行された「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(みどりの食料システム法)」によって、日本政府・農林水産省は、2050年までに有機農業の耕作面積を100万ha(耕作地面積の25%)にまで拡大するという計画を立てて有機農業を本気で推進しはじめました。EU諸国も同じく、耕地面積の25%を有機農業にするという計画です。有機農業は、どんどん世界中に広まっていこうとしています。耕力堆肥も、耕力農園としても、有機農業を推進するための力になりたいです。そこで「未来を耕す力になりたい」というテーマを掲げ、手探りではありますが有機農業を普及推進する力となりたいと活動を始めました。2024年8月より「耕力農園の有機農業のすすめ」と題した月1回の有機農業技術セミナーを開催することにしました。継続は力なり、歩みはゆっくりですが着実に仲間を増やしていっています。

017.jpg
bottom of page